2011年3月24日木曜日

犯罪者用GPS監視装置

アメリカで挑戦中の女優・田村英里子
                                                  
3月初めの朝日新聞に日本であまり話題にならないと思う記事が有った。 宮城県の村井嘉浩知事が県内の性犯罪者の前歴者らにGPS(全地球測位システム)所持を義務付ける条例を検討している。 ついては今月下旬から有識者らによる懇談会の意見を聞き、条例化の最終判断をする予定であるという。 今回の大地震発生で計画はどうなるのであろうか。
大阪府の橋本知事もこの再犯防止システムの導入検討を3月初めに発言している。 法務省も2009年5月に海外の事例研究を開始すると発表している。 

再犯防止のため、このGPS(全地球測位システム)システムを執行猶予期間中や仮釈放期間中、又は懲役刑の終了者も対象に取り外せないように足などに装着して24時間監視するシステムである。 これは性犯罪に限らず、統計的に見て再犯率の高いケースが対象になるものと思う。
それに対して、東京弁護士会の約20名と共に韓国へ同行した記者の調査報告である。 韓国では1998年から検討し、2008年から実施しているという。
韓国の状況についての内容については省略するが、気になる記事は日本の弁護士会の意見は「24時間監視は抵抗感を感じる」という意見と、韓国では検討から実施まで10年かかったという情報をつかんだということである。
既に判決が決まり、懲役刑の人に対する対象については問題であろうとは思うが、被害者やその恐れのある立場の人達にとっては24時間監視して欲しいであろうし、10年なんて後に再犯防止の効果なんて理解できないものと思う。

世の中にこの様なものが有るのだと知ったのは息子のドイツの中学校の友達で田村英里子がいた。 彼女は2年前に文藝春秋社から『ハリウッド・ドリーム』と言う本を出版した。
約20年前のことであるが、帰国の翌年の1989年、映画と歌手で同時デビューし、16歳で第31回日本レコード大賞新人賞を受賞した。 
2000年に単身アメリカの西海岸へ渡り、コネなしでハリウッドに挑戦した。 その甲斐あって2007年にはアメリカ全土で放映された人気番組『HEROES/ヒーローズ』シーズン2、2009年『ドラゴンボール エボリューション』と共に主役に選ばれているという。
上記の著書の中に監視用GPS(全地球測位システム)の記事が有ったので、それ以来、再犯防止には良いのではないかと思っていた。
その本によると、アメリカの民間アパートには「ルームメイト」と言うシステムが有り、賃借料の易い所では同じフロアーには共同使用のものが有るのではないかと推定できる。 彼女が未だ悪戦苦闘中に借りたアパートにいた男性はやはり俳優志望で有ったが、有る時半開きになっている男性の部屋のドアーの隙間から、片隅で点滅する赤いランプを見たという。 疑問に思って、その後その男性を観察していると、男性の片足の足首に錠が掛けられていたという。 いつもは裾の長いパンツで隠れているので気がつかなかったが、偶然に裾がまくれていてその部分が見えたのだと言う。 
彼女は恐ろしかったが、思い切ってその理由を聞いてみたところ、答えは「ハウス・アレスト」、つまり、法を犯し、自宅禁錮処分中で有ることを自白したそうである。
足首の物は一種のGPS(全地球測位システム)であり、部屋のランプと連動しており、当局が常時彼の居場所を把握できるようにしているのだそうである。 恐ろしさの余り、すぐに部屋を見付け逃げ出したという。

 
犯罪防止監視者に装着するGPS機器

米国は1980年代から再犯防止策を採用し、90年代からGPSシステムを導入した。
運営の仕方は州によって異なるが、ペリディアン社の『ベリトラック(VeriTracks)』と言う独特なシステムを採用している。 このシステムは犯罪者に米プロ・テック・モニタリング社製の携帯電話サイズのGPS受信機をベルトに、電子アンクレットを足首に装着させる。 この2つの装置が36メートル以上離れると保安官事務所に警報が鳴るようになっている。 
米国の場合、刑務所の受刑者数は約200万人以上であり、刑務所収監者、拘束収容者・保護観察者・仮出所者数等の総数は約700万人であり、人口の2%を超える。 収容場所が足らないし、経費削減のためにはGPSを導入せざるを得ない。
海外の導入国は米、英、仏、独、カナダ、スウェーデン、韓国などである。

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