日本ではアメリカに対し3~4倍の価格である
月刊誌「選択」2022年2月号に『米欧は安価な「天然ガス発電」に切り替える 「原発バブル」が崩壊』と言う記事が有った。
この記事の発表されたのは当然、3月11日の東日本大震災発生以前である。
2010年秋から2011年初頭にかけて世界の原子力関係者に立て続けて衝撃が走ったという。
最初のインパクトは米国で約30年ぶりの再開となるはずだった原発新設計画が凍結されたこと。
2番目は米国エネルギー省エネルギー情報局(EIA)が「長期エネルギー需要見通し」の中で示した、原発ニューズの悲劇的予測であるという。
天然ガス価格の劇的な下落である。 結果として火力発電のコスト競争力の急激な上昇である。 従って初期投資の大きい原発の優位性が失墜したのだそうである。
天然ガスの100万ブリティッシュ熱量単位(Btu)の価格が15ドル(原油換算90ドル)以上であれば、原子力発電でもコスト競争力あるという。 これは産出国の話であり、日本や韓国のような非産出国での目安は24ドル(原油換算144ドル)程度であると言う。
それ対して、現在の100万Btu当たり4ドル(原油換算24ドル)という天然ガスの価格では原子力の優位性は無いという。
この状況下で、2010年12月末の米EIAの公表による衝撃であった。 但し、日本のメディアは殆どとり上げなかったそうである。 どうしてなのだろうか。
いわゆる「シェールガス革命」によって、アメリカの天然ガス生産量は20%増加し、2035年時点の100万
Btu当たり7ドル(原油換算42ドル)にとどまり、1000キロワット時当たりの発電コストは天然ガス火力の79ドル、石炭火力の100ドル、原子力発電の119ドルと予測している。
一方、「週刊サンデー」5月29日号の28頁に米EIAの4月発表記事として、「シェールガス」の埋蔵量は中国が世界第1位、アメリカが第2位であるという。 中国は1275兆立方フィート、アメリカは862兆立方フィートである。
1兆立方フィートの天然ガスは都市ガスや発電燃料に使う液化天然ガス(LNG)で2000トンに相当する。
日本は年間7000万トンのLNGを輸入しているため、単純計算では日本が使用するLNGの364年分が中国に埋蔵されているが、日本では望みえないそうである。
日本では、この様な話はなぜか一般国民には知らされないようなシステムになっているようである。
このブログでも5月8日に「シェールガス」「タイトオイル」の採掘技術や埋蔵分布などについて2本取り上げている。
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