一般的な単位面積当たりの石油生産量
福島原発事故以来、日本全土で電力問題が大きなテーマになっている。
アメリカによる日本の開国の目的の一つは、燃料としての鯨油大増産のため、太平洋上で漁師の食糧・飲料水の補給や台風などの避難港確保だった。
わが国は明治以降の日本の工業化と共に、エネルギー問題が大きなテーマとなった。 石炭開発や水力発電の開発が蒸気機関や工業機械の原動機を回転させた。
太平洋戦争開戦の動機の一つは南アジアの石油確保だった。 戦後の経済発展と経済規模拡大過程で石油確保は重大な政策となった。 1970年代の二度のオイルショック以降は中東石油確保と原子力発電の推進が大きな国策となった。
世界規模で地球温暖化防止が大きなテーマになった状況下で原発事故に遭遇した。 日本に限らず、世界中でエネルギーは最重要テーマの一つである。
こんな折、水中の藻類から石油が生産出来るという朗報が日本で発表された。
石油価格上昇によりトウモロコシやサトウキビからバイオ燃料生産は進行している。 その影響で食糧価格の上昇現象が顕著である。
藻類の油脂成分から石油が得られることは世界的に知られていたそうである。
藻類から石油生産の研究は米国・軍部によって第二次大戦中に開始され、現在も研究は続行されている。年間予算は約1500億円だそうである。
日本でも藻類の研究も研究している大学などは有ったようである。 筑波大学の渡邉信(まこと)教授(63)は東北大学理学部を卒業後、藻類研究をしていた北海道大学大学院へ進み藻類の研究をした。
1970年代のオイルショック以降、藻類から石油生産の研究が世界規模で拡大した。 それ以降もその研究は原油価格が下がると停滞し、上昇すると過熱した。
渡邉教授も2004年から本格的に研究に取り組んだ。 最初に選んだ藻はボトリオコッカスという名前の藻であった。 この藻は油種を作る能力が高く、その油種は重油に近い成分であった。しかし、藻の培養に時間がかかり、生産コストは重油1リットル当たり約50円に対し、約800円かかってしまうという。
渡邉教授は日本中の海岸の藻を探したが、良い候補の藻に出会うことが出来なかった。
文献調査や藻類研究のフィールドワークなどの経験から、熱帯や亜熱帯海域の藻類が最適という結論に達し、沖縄海域のオーランチオキトリウム(ギリシャ語で「黄金色の壺」)という藻を採取したそうである。
オーランチオキトリウムは増殖スピードが速い。 石油生産効率が12倍に向上したそうである。
この藻の増殖は光合成でなく有機物によって増殖するという。 家庭排水やし尿、産業排水で培養化のであるため、コストを安く抑えられるという。 コストは重油1リットル当たり約50円
レベルになったと云う。
細かい生産工程は省略するが、深さ1メートルの1ヘクタール体積で年間1万トンの石油を生産できるという。 日本の年間石油輸入量は約2万トンである。 霞ヶ浦の面積は2万ヘクタールで有るので、2億との石油が生産できる。
現在、日本の耕作放棄農地は40万ヘクタールで有るので、その5%を充当すれば賄える。 従って、軌道に乗れば日本から石油輸出も夢ではない。
渡邉教授は現在、科学技術振興機構(JST)の藻類エネルギー技術開発プロジェクトチームで研究しているそうであるが、実用化には約10年かかるという。 研究費はアメリカの100分の1程であるそうだ。
現在、研究は民間企業と共同研究を進めているようである。 別の研究企業グループも有るようだ。
実用化が約10年とは長すぎる。 アメリカが日本に投下した原子爆弾開発は国家として、研究機関は24時間体制で推進した。 日本は原子力発電事業を国家事業として推進してきた。 本件こそ、それ以上の体制で国家事業として推進して欲しいものである。
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