2011年2月14日月曜日

視覚障害者のGHQ研究者


昨年末に知人Kから一冊の本を借用した。 積んである本が多かったので、なかなかその本に取り掛かれなかった。 著者はその知人の恩師であり、友人と最近お会いしたという。
私は約15年ほど前から寝る時に枕元のラジオのスイッチを入れて寝る。 NHKの「深夜便」を聞いていると自然と眠りに入る。 夜中にトイレに起きてチョット眠れないときも、ラジオを聞いているといつの間にか眠りにつける。 知人にお会いする半月ほど前の「深夜便」の早朝4時からの番組でその人の話を聞いた。 それもあって、知人Kとの話は盛りあがった。
その本は竹前栄治著の『失明を超えて 拡がる世界』である。 著者は1930年に長野県に生れた。 東京教育大学を卒業している。 ハワイ大学へ留学した折にGHQに関する資料に接し、指導教官の適切なご指導とGHQに関係する分野の研究者や元GHQ関係者などに紹介された。 本人の旺盛な研究心などによって、日本におけるGHQ関係の研究の嚆矢である。 新憲法制定を初め、GHQによる戦後の諸制度の制定を再確認するには竹前栄治氏の多くの著書に詳しく記されていると思われる。 多くの著書を表している。
竹前氏は「M資金」に関する資料と下山事件、三鷹事件、松川事件の真相に関わる資料は見いだせなかったという。
ハワイ大学への留学中、視力に暗雲が立ち込めたらしいが、50歳直前に殆ど失明してしまったという。
それ以降、盲導犬や多くの協力者に支えられて研究は続けられ、今日に至っているそうであるが、GHQの研究という分野のみならず、視覚障害者の先頭に立って、視覚障害者の環境改善に尽くされた功績にも素晴らしいものがある。 世界的にみても、各種障害者に理解の乏しい日本の一分野に、その突破口を切り開いた功績は大きい。
私など両目を開いていても、やっとパソコンと悪戦苦闘している。 竹前氏は視覚不全という状況でありながら、音声入力や音声も立ち上げなどの技術を克服してパソコンを操っていらっしゃる。
視覚障害と闘いながらのGHQ関係の研究と視覚障害者の環境改善の努力を知って、今まで重く立てこめていた厚い雨雲が少し明るくなったような気分となった。

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