2011年2月17日木曜日

グローバルな食料高騰とサルコジ大統領


チュニジアに始まった民衆騒動は、エジプトに伝播してムバラク大統領の辞任で大きな山に差し掛かった。 抑圧されていた民衆のエネルギーはリビア、イランを巻き込み、更にヨルダン、イエメンやバーレーンへと飛び火している。 
数十年に及ぶ独裁による国民への抑圧に加えて、特に失業率の上昇、特に出生率の上昇も伴い25才以下の若者の失業率は20%以上であり、チュニジアは30%を超えているという。 
その状況下で消費者物価は上昇し、特に食糧価格が急騰している。 食糧価格の上昇は今やグローバルである。 
アジア地域では米が主食であり、現在の米価格は比較的安定しているようだが、それ以外の国々は小麦粉が主食であり、小麦価格は昨年より20%を超えて上昇しているという。 
従ってアフリカ北部や中東の騒動は止むに止まれぬ行動であると思われる。 トウモロコシやその他の食品は20%以上値上がりしている。
かつて日本の1960年や70年安保条約反対闘争などと異なり、上記の闘争は政党(野党)主導による労働組合や学生を主体とした闘争と形態が異なっているようである。 学生や学校を卒業したが就職できない若者達が携帯電話やインターネットを媒体として動員しているらしい。 
独裁化では弱体な野党、認可されなかった政治集団、イスラーム教などの宗教団体が個々に参集しているのだそうだ。
食糧価格の急激な高騰の背景には世界的な異常気象が大きく影響していることが主因であろう。
昨年のロシアその他の干ばつ、オーストラリアの水害やハリケーンなど。 経済的な新興国の経済的大発展に伴う需要増などが要因のようだ。 
サブプライムローンの破綻に起因する世界的金融危機以後、主にアメリカや欧州の莫大な財政出動。 アメリカやイギリスなどは金融破綻以前に流通していた通貨の2~3倍の通貨を市場に流出させているのだという。 自分たちの国内で吸収できる投資部門が少ないため、新興国や金利の高い国へ、更に金、石油や食糧などへ多量な資金が流出されているのだという。 
廻り回ればそれらの経済システムの拠点を把握しているアメリカやイギリスの資本所有者(企業)が利益を得ることになっているらしい。 うまくできているものだと感心した次第である。
今年のG20の議長国はフランスであり、サルコジ大統領が議長だという。 フランス大統領の任期は2012年5月15日までである。 サルコジは次期大統領の席を狙っているのは勿論であろう。 
それだけではないだろうが、サルコジ大統領は今月の18日からパリで開かれるG20財務相・中央銀行総裁会議で食料価格安定対策に取り組み、6月にはパリで農林大臣会合を開催し、価格抑制策を協議するという。 
成功を祈るとともに、フランスのためとか大統領へ再選などという目標にとどめず、是非世界の人々のために最大の努力を傾注して頂きたいものと期待したい。 
成果が大きければフランス大統領でなく、世界の人々が「世界大統領」に推薦してくれるであろうと思う。 
サルコジ大統領の尊敬する一人がイタリアのベルルスコーニ首相であるという。 決して彼の尊敬出来ないような行為を真似しないで欲しいものである。

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